連載 生存力賦活のがん統合療法⑨
いつもの生活に医療行為が少しだけまぶされているのが理想の統合療法
医療ジャーナリスト 旭丘光志
- 生きる力そのものを高める仙人食
『冬虫夏草=とうちゅうかそう』という不思議なキノコの存在を私が初めて知ったのは、1960年頃、安保闘争のバイブルとも呼ばれ全学連闘士に愛読されていた大長編漫画『忍者武芸長』の作者白土三平の忍者漫画によってでした。細部の記憶はもう朧ですが、傷つき死に瀕した仲間の命を救うために、仙人の長寿の源泉と言われるキノコ『冬虫夏草=とうちゅうかそう』を探しまわる物語が延々と続くのです。
その20数年後、私は取材で入った中国・チベットの間にまたがる標高3500~4500メートルの青蔵高原で、春の草が生えかけたばかりの山肌に這いつくばり『冬虫夏草』を採集する50人ほどの村人たちと遭遇しました。毎年その季節になると、平地の村から村人あげて採集に来るという。
『冬虫夏草』は土中の蝙蝠蛾の幼虫に“バッカク菌科冬虫夏草菌”が寄生して生える不思議なキノコです。写真でもわかるように幼虫の体はそのまま残っていますが、体内はすべて“冬虫夏草菌”に占拠されてしまっているのです。夏になると冬虫夏草菌は草の栄養として使われてしまうため、直前の半月間しか採集できない高貴薬なのです。一本でも見つかると叫び声が上がります。採集する人たちの近くには、超高値で買い取りする仲買人がバイクで待機していてすっ飛んでいきます。
高地低酸素環境と蝙蝠蛾の幼虫と草の成長期が微妙に関わっているため現在でも栽培不可能です。その成分の人工培養も試みられていますが、あまりにも複雑な希少成分の集合体であるため、完全なものは出来ません。現代でも、自然採集の天然物が重用されています。
『冬虫夏草』は中国最古の薬物学書「神農本草経」に最上の薬として収載されています。常に“仙人の―”という呼称がアタマにつくことでも明らかなように体への部分的な作用ではなく、“生命力そのものの賦活・精神から肉体まで生体維持機能の多面的活性化・抗老化”の方向から統合的生命力賦活に関わる不思議物質なのです。 それは現代の『ホリステイック医学』の方向性とぴたり重なり合う働きでもあります。
冒頭のみ抜粋 詳細は『統合医療でがんに克つ』 2021/1 vol.151 p.40~43

サマリー
- 生きる力そのものを高める仙人食
- “緩和ケア”は死を待つ病床ではないーー帯津三敬病院に見る『冬虫夏草』効果の真実
- 中医学と現代医学が明らかにした『冬虫夏草』驚異の医学的秘密
- “生命場のエネルギー”を高める人間丸ごとの医療を!
- 腎臓がんの腫瘍マーカー上昇が止まった!!
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\ 青海省・チベット高原産 /