連載29　授けます！実力派抗がんサプリ

医療ジャーナリスト　旭丘光志

• 東北地方への恩返しに薬局復活を！

　東日本大震災でほぼ壊滅状態に陥った宮城県・石巻市。それは病院や薬局など医療機関も例外ではありませんでした。

　あれから6年近く、気を取り直し復興に向けて懸命に頑張る地域の人々の健康を支え続ける薬剤師がいます。その薬局は津波が襲いかかった海岸線から2km近く離れているのにもかかわらず、1.5ｍを超えるどす黒い海水が到達して、地震で崩れた店内をさらにメチャメチャにし、汚泥のような水が6日間も引かなかったそうです。

　石巻市中里・東洋漢方研究所『ヤマト漢方薬局』の福谷信治薬剤師（57歳＝被災時51歳）は大地震から8ヵ月後には、すべての薬品と商品を失った状態から、部分的にではありましたが、店舗を修復し、お客さんが必要としている薬品などを少しづつ揃えて営業を再開したのです。

　「がん闘病や再発阻止を10年以上も漢方薬や冬虫夏草サプリメント『青海冬夏泉』やチベット仏教医学の酸素補給サプリ『紅雪冬夏』で支えている方、そして、不妊治療、アトピー性皮膚炎などで継続的に漢方処方相談に乗っている方たちも少なくありませんでしたでの、何があっても長期の供給中断は許されないのです。私は自らが選んだ世界最高品質の生薬とサプリしか使ってこなかったので、輸送路が壊滅した地震直後から数ヵ月は本当に製品確保に苦労しました」

　8ヵ月よりさらに前、まだ店舗が復活しない時点では、東京の輸入元から宅配便で石巻市の安全な場所まで必要量を運んでもらい、そこからさらに市内や東北各地の継続使用者のもとへ送っていたのです。

　この地に根を張り『ヤマト漢方薬局』を東北地方有数の相談薬局に育て上げた福谷薬剤師は、いま静かにその苦闘の日々に思いを馳せます。

　「今回の大震災ではたくさんの人たちが亡くなられ、家族を失って心に容易に癒されない深い傷を負った方も少なくありません。辛い時ちょっと立ち寄って心置きなく愚痴を聞いてもらえる場所も必要でしょう。もし、体の不調があれば、あまり体の負担にならない漢方薬や機能性食品をお教えすることもできます。ストレスを緩和する呼吸法などもあります。この地への恩返しになればと思って、まず店の再開に全力を上げました」

　福谷信治薬剤師は「東北薬科大学＝現・東北医科薬科大学」を出た西洋医学の薬剤師ですが、後に東京の漢方専門薬局や中医師の勉強会などで中医学（中国漢方）を含む東洋医学と生活医療を学ぶことによって統合医療的な視野を獲得した新しいタイプの相談薬剤師になりました。

　祖父から父親までは奈良県の配置薬会社の東北地方担当者で、福谷薬剤師のルーツは奈良県なのです。父と祖父の東北との長い絆を見てきたことから、東北のこの町で開業した福谷薬剤師“ヤマト”の三文字が店名に冠されている理由を聞いたとき、初めて自らのルーツを語ってくれたのでした。

冒頭のみ抜粋　詳細は『統合医療でがんに克つ』 2017/2 vol.104 p.36~39

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